大阪の国旗国家条例雑感

 昨年の大阪府条例の時も思ったケド、この条例については冒頭の「この条例は、国旗国歌法教育基本法及び学習指導要領の趣旨を踏まえ」の一節がどうにも気持ち悪い。


 特に「基づき」じゃなくて「趣旨を踏まえ」としている箇所が引っ掛かる。『がん対策基本法&がん対策推進条例』、『男女共同参画社会基本法男女共同参画推進条例』のように、全国一律の法令を地域ごとに具体化させる場合には用例が見えるが、複数の法律と要領を拾い食いして「趣旨を踏まえ」というのは全く見たことがない。(念のため用語検索機能を持つ21都道府県のWeb例規集を叩いてみたが、やはり皆無であった。)


 このような「趣旨を踏まえ」という用い方は、つまり「この法令はこう言っているハズだ!」という思いに基づくワケで、「忖度政治」ならぬ「忖度立法」として際限なく何にでも応用できる「立法のモラルハザード」を如実に示した、悪い意味でのエポックメイキングであるように思う。


 こうした「法による権力の行使は限定的に最低限度であるべき」というモラリティが欠如したシロモノを見せられると、どうにも尻の辺りがムズ痒く居心地が悪くなってくる。


 そもそも国旗国家法には式典についての定めはなく、それどころか教育基本法にさえ定められていない。唯一、教育基本法に基づいた行政立法である「要領」に「入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導する」との記載があるのみで、これが根拠法令としては唯一無二のものである。「要領」にしか存在しない字句を自主立法で取り扱うのも、鶏を割くのに牛刀を振り回すようなアンバランス感がある。


 「一部教員をターゲットにした非常立法である」という経緯ならば、正に時限的、非常的に行うべきものであり、終期も解除要件もなく、当たり前の顔をして一般法のように例規集に並べる性質のものではないだろう。


 何とも見れば見るほど気恥ずかしい第一条なのだが、そーゆー議論がされた形跡も寡聞にして聞かない。府民市民は仕方がないとしても、プロである議員にもそーゆー感性が無いことについて、何と言うかガックリくる所がある。


 まぁ、、、しゃーない。



 以上、ツイッターからの再録加筆ー。